○日置市健康づくり推進条例

平成24年10月2日

条例第24号

市民が住み慣れた地域において、性別、年齢、疾病や障がいの有無、生活水準にかかわらず、健やかに過ごすことができ、医療、介護等の福祉サービスを必要なときに安心して受けることができる社会保障制度を維持していくことは市民一人一人の願いです。

一方で、少子高齢化が急速に進行する近年の地域社会においては、がん、心疾患、脳卒中、糖尿病等の生活習慣病の増加を始め、生活習慣病の重症化に起因する身体的・精神的機能の低下により障がいや要介護状態となる市民が年々増加する傾向にあります。今後も、この傾向は続くことが予測されることから、生活習慣病を発症する前からの心身の状態に応じた健康づくりが重要となってきています。

これらの課題を解決するためには、市が公的責任を果たし、市民の心身の健康の保持増進を図り、ひいては市民一人一人の生活の質を向上させていくための取組を推進するとともに、市民、医療関係者、事業者、自治会、地区自治公民館、地域団体等も自助・互助・共助の役割を認識し、協働して健康づくりを推進していくことが必要です。

このような認識に基づき、市民が生涯を通して健やかで豊かに過ごすことを基本としつつ、市全体で現状や課題を共有し、協働して健康づくりの取組を推進していくことを目的として、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、急速な高齢化の進展、疾病構造の変化等による医療費等の社会保障費の増大に伴い、市民の健康の保持増進の重要性が増大していることに鑑み、市民の健康づくりの推進に対する市の責務及び市民、医療関係者等の役割を明らかにするとともに、社会全体が一体となって、市民一人一人の健康づくりの取組を支援することにより、健康づくりの総合的かつ計画的な推進及び市の健全な財政運営に基づく社会保障制度の維持を図り、もって全ての市民が健やかに安心して生活することができる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 健康づくり 市民が生涯にわたって健やかで充実した生活を送ることができるよう、その性別、年齢、心身の状態等に応じた健康の保持及び増進を図るための適切かつ継続的な取組をいう。

(2) 医療関係者 医療保険者、医療提供施設、医師、歯科医師、薬剤師その他の医療の担い手をいう。

(3) 事業者 市内において事業活動を行う者をいう。

(4) 自治会 地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体をいう。

(5) 地区自治公民館 日置市地区公民館条例(平成23年日置市条例第3号)に定める地区公民館の地区ごとに、当該地区に属する自治会その他の公的団体で構成する組織をいう。

(6) 地域団体 保健推進員等(市長が別に定めるところにより設置する保健推進員、母子保健推進員、食生活改善推進員及び運動普及推進員をいう。第10条において同じ。)、女性団体、高齢者団体、NPO法人(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人をいう。)、スポーツ推進委員(スポーツ基本法(平成23年法律第78号)第32条第1項に規定するスポーツ推進委員をいう。)その他市民等で構成される営利を目的としない団体で、自治会及び地区自治公民館を除くものをいう。

(解釈及び適用)

第3条 この条例は、市民の健康の保持及び増進を図るためにのみ適用するものであって、これを拡張して解釈し、市民の自由及び権利を不当に制限するものであってはならない。

(市の責務)

第4条 市は、国、鹿児島県、他の地方公共団体等との連携及び市民、医療関係者、事業者、自治会、地区自治公民館、地域団体等との協働により、市民の生涯にわたる健康づくりの推進に関する施策を効果的かつ継続的に推進しなければならない。

2 市は、市民の生涯にわたる健康づくりの推進のために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

3 市は、各種施策の実施に当たっては、市民の生涯にわたる健康づくりの推進に配慮するよう努めなければならない。

4 市は、健康づくりの推進に関する情報の収集、分析、評価及び提供に努めなければならない。

(市民の役割)

第5条 市民は、自らの心身の状態に応じ、生涯にわたって食生活、運動、休養等の健康づくりに関する適切な生活習慣の確立に努めるものとする。

2 市民は、健康診査、がん検診、歯科検診その他の健康診断(以下「健康診査等」という。)を積極的に受診し、自らの心身の状態を把握し、健康づくりに努めるものとする。

3 市民は、医師又は歯科医師に適宜相談し、又は指導若しくは治療を受ける等必要に応じて医療関係者の支援を受けるよう努めるものとする。

4 市民は、相互に生涯にわたる健康づくりを推進していく役割を有するものとする。

(医療関係者の役割)

第6条 医療関係者は、健康づくりの推進に当たっては、保健指導、健康診査等、治療その他の保健医療サービスを市民が適切に受けることができるよう配慮するものとする。

2 医療関係者は、市民に対し必要に応じ適切な受診に関する助言を行うよう努めるものとする。

3 医療関係者は、市民に対し必要に応じ後発医薬品(保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第20条第2号ニに規定する後発医薬品をいう。)に関する情報の提供に努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、地域社会の一員として、市民の生涯にわたる健康づくりの推進に協力するように努めるものとする。

2 事業者は、その使用する者の健康づくりの推進に必要な環境の整備その他の便宜の供与に努めるものとする。

(自治会及び地区自治公民館並びに地域団体の役割)

第8条 自治会及び地区自治公民館は、市と連携して地域の特性に応じた健康づくりの推進及び安心して生活することができる地域づくりに努めるものとする。

2 自治会及び地区自治公民館は、市民が健康づくりを推進するために必要な環境の整備及び支援に努めるものとする。

3 地域団体は、市民の健康づくりを推進するため、健康づくりに関する活動に積極的に取り組むよう努めるとともに、他の地域団体等が行う健康づくりに関する活動及び市が実施する健康づくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(連携協働等)

第9条 市民、医療関係者、事業所、自治会、地区自治公民館及び地域団体は、あらゆる場所又は機会を通じて情報の共有を図り、相互に連携協働して健康づくりの推進に努めるものとする。

2 医療関係者、事業所、自治会、地区自治公民館及び地域団体は、前項の規定により共有する情報を、健康づくりの推進のためにのみ収集し、保管し、及び使用しなければならない。

(元気な市民づくり運動推進計画)

第10条 市長は、健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)第8条第2項の規定により健康増進計画(以下「元気な市民づくり運動推進計画」という。)を定めるものとする。

2 元気な市民づくり運動推進計画には、法第7条第1項に規定する基本方針及び法第8条第1項の規定により鹿児島県が定めた健康増進計画を勘案して定める事項のほか、次の各号に掲げる事項を定めるものとし、これらの事項を推進するに当たり、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める施策を実施するものとする。この場合において、市長は、これらの施策ごとに具体的な目標数値を掲げるよう努めるものとする。

(1) 健康診査等の受診率の向上に関する事項 次に掲げる施策

 受診の必要性及び重要性に関する啓発に関すること。

 保健推進員等に対する健康づくりの推進に必要な研修に関すること。

 医療関係者等との連携協力に関すること。

 からまでに掲げるもののほか、必要な施策

(2) 自治会、地区自治公民館及び市民と市とが協働して取り組む健康づくりに関する事項 次に掲げる施策

 地域組織の構築及び環境整備に関すること。

 市民が参加する健康づくり推進活動に対する専門的指導又は支援に関すること。

 元気な市民づくり運動推進計画の普及及び啓発に関すること。

 からまでに掲げるもののほか、必要な施策

(3) 国民健康保険の医療費の適正化に関する事項 次に掲げる施策

 特定健康診査及び特定保健指導の効果的かつ効率的な実施に関すること。

 生活習慣病等の重症化の予防に関すること。

 受診、受診行動等に関する分析、評価及び検討に関すること。

 に規定する受診行動等に関する分析、評価及び検討の結果、必要と認められる者に対して行う調査、助言及び保健指導に関すること。

 からまでに掲げるもののほか、必要な施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項 市長が必要と認める施策

3 市長は、元気な市民づくり運動推進計画を定めようとするときは、あらかじめ第12条に規定する日置市健康づくり推進協議会の意見を聴かなければならない。この場合において、前項第3号に掲げる事項にあっては、当該協議会の意見を聴くほか、日置市国民健康保険運営協議会(日置市国民健康保険条例(平成17年日置市条例第133号)第2条に規定する協議会をいう。)の意見も聴かなければならない。

4 市長は、元気な市民づくり運動推進計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、元気な市民づくり運動推進計画の変更(軽微な変更を除く。)について準用する。

(成果の公表)

第11条 市長は、前条第2項後段の規定により掲げた目標数値に対する施策の成果を事業年度終了後、遅滞なく公表しなければならない。

(健康づくり推進協議会)

第12条 市民の健康づくりの推進を図るため、日置市健康づくり推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。

2 協議会は、次に掲げる事項について審議する。

(1) 元気な市民づくり運動推進計画の策定及び変更に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、市民の健康づくりの推進に関し必要な事項

3 協議会は、市民の健康づくりの推進に関し必要な事項について、市長に意見を述べることができる。

4 前3項に定めるもののほか、協議会に関し必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第12条及び附則第4項の規定は、平成25年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に法第8条第2項の規定により定められている健康増進計画は、第10条第1項の規定により定められた元気な市民づくり運動推進計画とみなす。

3 この条例の施行の日以後附則第1項ただし書に規定する日までの間における第10条第3項の規定の適用については、同項中「第12条に規定する日置市健康づくり推進協議会」とあるのは、「市長が別に定めるところにより設置した協議会」とする。

(日置市報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 日置市報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年日置市条例第45号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

日置市健康づくり推進条例

平成24年10月2日 条例第24号

(平成25年4月1日施行)