○日置市地域と再生可能エネルギー発電事業との共生に関する条例
令和6年3月29日
条例第12号
(目的)
第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電事業が地域の自然環境及び景観並びに市民の生活環境に及ぼす影響に鑑み、地域と再生可能エネルギー発電事業との共生に関し、基本理念を定め、市、市民、市内事業者、土地所有者等及び発電事業者の責務を明らかにするとともに、市の区域内において再生可能エネルギーを永続的に利用できる循環型社会の形成を図り、もって持続可能な脱炭素社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 再生可能エネルギー発電事業 自らが維持し、又は運用する発電設備を用いて発電した電気を電気事業者(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号。第3号において「法」という。)第2条第4項に規定する電気事業者をいう。)に供給することをいう。
(2) 発電設備 再生可能エネルギーを電気に変換する設備及びその附属設備であって、その出力が50キロワット以上のものをいう。ただし、設置者が自己で消費することを主な目的とするものを除く。
(3) 再生可能エネルギー 法第2条第3項に規定する再生可能エネルギー源を利用したエネルギーをいう。
(4) 市内事業者 市内で事業を営む個人、法人又は団体をいう。
(5) 土地所有者等 再生可能エネルギー発電事業の用に供する市内の土地を所有し、占有し、又は管理する者をいう。
(6) 発電事業者 市内で再生可能エネルギー発電事業を営む個人、法人又は団体をいう。
(7) 脱炭素社会 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)第2条の2に規定する脱炭素社会をいう。
(8) 再生可能エネルギーの利用等 再生可能エネルギーの利用及びエネルギーの消費の効率化を図ることをいう。
(基本理念)
第3条 市の豊かな自然環境及び特色ある景観並びに市民の良好な生活環境が市民の長年にわたる努力によって保全及び形成された地域固有の財産であることに鑑み、その財産が持つ価値及び機能を活用して得られる再生可能エネルギーの恩恵を将来にわたって市民が受けることができるよう、市民の意向を踏まえて、その保全及び活用が図られなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、脱炭素社会の実現のため、日置市2050脱炭素ビジョン(地球温暖化対策の推進に関する法律第21条第1項に規定する地方公共団体実行計画をいう。)を計画的に実施しなければならない。
2 市は、その行政事務において、自ら率先して再生可能エネルギーの利用等に努めなければならない。
3 市は、市民及び市内事業者が再生可能エネルギーの利用等についての理解と関心を深めることができるよう、啓発活動その他必要な措置を講じなければならない。
4 市は、市民、市内事業者、土地所有者等及び発電事業者が円滑かつ積極的に再生可能エネルギーの利用等を実施することができるよう、支援その他必要な措置を講じなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、その日常生活において、積極的な再生可能エネルギーの利用等に努めるものとする。
2 市民は、市が実施する再生可能エネルギーの利用等の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市内事業者の責務)
第6条 市内事業者は、その事業活動において、積極的な再生可能エネルギーの利用等に努めるものとする。
2 市内事業者は、市が実施する再生可能エネルギーの利用等の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(土地所有者等の責務)
第7条 土地所有者等は、再生可能エネルギー発電事業の実施により、地域の自然環境及び景観並びに市民の生活環境を損ない、又は事故、災害及び公害が発生することがないよう、その所有し、占有し、又は管理する再生可能エネルギー発電事業の用に供する土地の適正な管理その他必要な措置を講じなければならない。
(発電事業者の責務)
第8条 発電事業者は、その再生可能エネルギー発電事業において、関係法令及びこの条例を遵守し、地域の自然環境及び景観並びに市民の生活環境に十分配慮するとともに、事故、災害及び公害の防止対策その他必要な措置を講じなければならない。
2 発電事業者が再生可能エネルギー発電事業の実施を計画するときは、当該再生可能エネルギー発電事業に係る事業計画、施工内容、発電設備の維持管理の方法等について、説明会等を通じて市民に周知を図り、その理解を得られるよう努めなければならない。
3 発電事業者は、再生可能エネルギー発電事業の実施に当たっては、市内事業者への投資及び雇用機会の確保を図る等、市内における経済循環が創出されるよう努めなければならない。
4 発電事業者は、再生可能エネルギー発電事業の区域及びその区域内の発電設備を適切に管理しなければならない。
5 発電事業者は、再生可能エネルギー発電事業で発生する廃棄物を適切に処分しなければならない。
6 発電事業者は、市が実施する再生可能エネルギーの利用等の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
7 発電事業者は、市民又は事業者が自ら出資することで、再生可能エネルギー発電事業(太陽光その他の規則で定める再生可能エネルギーを利用する発電設備で、規則で定める出力以上のものに限る。)に参加できる仕組みの構築に努めなければならない。
(再生可能エネルギー発電事業の計画の届出)
第9条 市内において再生可能エネルギー発電事業の実施を計画する者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、当該再生可能エネルギー発電事業に係る事業計画を市長に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公表するものとする。
(発電設備の設置の届出)
第10条 前条第1項の規定による届出をした者は、発電設備を設置しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公表するものとする。
(再生可能エネルギー発電事業の開始の届出)
第11条 前2条の規定による届出をした者は、当該再生可能エネルギー発電事業を開始しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公表するものとする。
(再生可能エネルギー発電事業の承継の届出)
第12条 発電事業者は、再生可能エネルギー発電事業の全部又は一部を他に承継しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公表するものとする。
(再生可能エネルギー発電事業の廃止の届出等)
第13条 発電事業者は、再生可能エネルギー発電事業を廃止しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公表するものとする。
3 発電事業者は、再生可能エネルギー発電事業を廃止したときは、関係法令に基づき、発電設備を適切に処分しなければならない。
4 発電事業者は、前項の規定による処分が完了したときは、規則で定めるところにより、遅滞なく、その旨を市長に届け出なければならない。
(報告徴収及び立入調査)
第14条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、発電事業者に対し、再生可能エネルギー発電事業の状況に関する報告若しくは資料の提出を求め、又は市の職員に、発電設備その他必要な場所に立ち入らせ、再生可能エネルギー発電事業の状況に関する調査若しくは質問をさせることができる。
2 前項の規定による立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(勧告)
第15条 市長は、発電事業者が次のいずれかに該当するときは、当該発電事業者に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
(1) 第8条第4項に規定する責務を怠り、再生可能エネルギー発電事業の区域外に損害を与えたとき又は損害を与えるおそれがあるとき。
(3) 第13条第3項の規定による処分をしないとき。
(4) 前条第1項の報告若しくは資料の提出を拒み、又は忌避したとき。
(5) 前条第1項の規定による調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対する答弁を忌避し、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(公表)
第16条 市長は、前条の勧告を受けた発電事業者が当該勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表の対象となる発電事業者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。