○日置市患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱
令和3年6月1日
消防本部告示第8号
(目的)
第1条 この告示は、患者等の搬送を行う民間事業者に対し、必要な指導を行うとともに、一定の基準に適合する搬送事業者として認定を行うことにより、患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(1) 患者等 寝たきり高齢者、車椅子又は寝台を必要とする身体障害者、傷病者等をいう。
(2) 患者等搬送業務 患者等を医療機関、社会福祉施設等へ搬送するために必要な構造又は設備を備えた自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を使用し、患者等を搬送する業務をいう。
(3) 患者等搬送事業 患者等搬送業務を行う事業をいう。
(4) 患者等搬送事業者 患者等搬送業務を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(5) 認定事業者 第9条の規定により認定を受けた患者等搬送事業者をいう。
(6) 乗務員 患者等搬送用自動車に乗車し、患者等搬送業務に従事する者をいう。
(指導)
第3条 消防長は、管轄区域内の患者等搬送事業者に対し、患者等搬送事業指導基準(別表第1。以下「指導基準」という。)に基づき、必要な指導を行うものとする。
(講習の実施)
第4条 消防長は、乗務員に患者等搬送業務に必要な知識及び技術を習得させるため、別表第2に定めるところにより講習を実施するものとする。ただし、講習の全部又は一部については、他の消防長と共同し、又は他の団体に委託して実施することができる。
(適任証の交付)
第5条 消防長は、次のいずれかに該当する者に対し、患者等搬送乗務員適任証(様式第1号。以下「適任証」という。)を交付するものとする。
(1) 別表第2の1の項に規定する講習(以下「基礎講習」という。)を修了した者
(2) 次のいずれかに該当する者のうち、前号に掲げる者と同等以上の知識及び技術を有する者として消防長が認める者(以下「特例適任者」という。)
ア 救急救命士の資格を有する者又は消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条に規定する救急業務に関する講習を修了した者
イ 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を修了した者(当該講習に基礎講習に不足する科目がある場合は、消防機関が行う講習を修了した者に限る。)で、資格が有効期間内にあるもの
(3) 上記に該当する者は、特例認定申請書(様式第2号)に特例適任者と認められる資格を証明するものを添え、消防長に提出しなければならない。
(適任証の有効期間)
第6条 適任証の有効期間は、その交付を受けた日から2年間とする。ただし、別表第2の2の項に規定する講習(以下「定期講習」という。)を修了した者については、その受講の日から更に2年間有効とし、以降も同様とする。
(認定対象となる患者等搬送事業者)
第7条 認定対象となる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定めるところにより次の各号のいずれかの許可又は登録を受けた者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者
(認定の申請)
第8条 認定を受けようとする患者等搬送事業者は、患者等搬送事業者認定申請書(様式第3号)に次に掲げる書類を添えて、消防長に提出しなければならない。
(1) 前条各号の許可又は登録を受けていることを証する書類
(2) 乗務員名簿(様式第4号)
(3) 患者等搬送用自動車届(様式第5号)
(4) 資器材一覧表
(5) 前各号に掲げるもののほか、消防長が必要と認める書類
2 認定事業者は、事業者認定マークについては事業所の、自動車認定マークについては患者等搬送用自動車の見やすい場所に掲示しなければならない。
(認定の有効期間)
第11条 認定の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
(認定の更新)
第12条 認定事業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、当該認定の有効期間が満了する日の1月前から当該満了する日までの間に消防長に申請しなければならない。
(認定証等の再交付)
第13条 認定事業者は、認定証等を亡失し、汚損し、又は破損したときは、認定証等再交付申請書(様式第13号)により消防長に再交付の申請をするものとする。
(事業内容の変更)
第14条 認定事業者は、患者等搬送事業者認定(更新)申請書に記載されている内容に変更があったときは、患者等搬送事業内容変更届(様式第14号)により消防長に届け出なければならない。
2 消防長は、前項の規定による届出があったときは、認定事業者台帳を整理するものとする。
(事業の休止等)
第15条 認定事業者は、患者等搬送事業の全部若しくは一部を休止し、又は廃止しようとするときは、患者等搬送事業休止(廃止)届(様式第15号)により消防長に届け出るものとする。
(認定の失効)
第16条 認定事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、認定は、その効力を失うものとする。
(1) 道路運送法に定めるところにより、国土交通大臣の許可等が取り消され、又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
(認定事業者の責務)
第17条 認定事業者は、指導基準を誠実に履行しなければならない。
2 認定事業者は、患者等搬送事業に関し、消防長から報告を求められたときは、これに応じなければならない。
(1) 患者等搬送業務実施中に患者等が死亡し、又は負傷したとき。
(2) 患者等搬送業務実施中の患者等搬送用自動車の事故等により業務に支障があるとき。
(3) 前2号に掲げるもののほか、患者等搬送事業に支障を来す重大な事故等が発生したとき。
(認定事業者の調査)
第18条 消防長は、少なくとも年1回以上認定事業者に対して指導基準の履行状況等について、認定審査基準表により調査するものとする。
(認定の取消し)
第19条 消防長は、認定事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができる。
(1) 第7条に該当しなくなったとき。
(2) 指導基準を遵守しないとき。
(3) 業務の遂行に当たり、人身事故、感染事故等重大な事故を発生させたとき。
(4) 前3号に掲げるもののほか、消防長が適当でないと認めるとき。
(その他)
第21条 この告示に定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この告示は、令和3年6月1日から施行する。
別表第1(第3条関係)
患者等搬送事業指導基準
1 共通事項
指導事項 | 指導内容 |
事業実施の基本原則 | (1) 患者等搬送事業者は、患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めること。 (2) 患者等搬送事業者は、緊急性のない者を搬送対象とすること。 (3) 患者等搬送事業者は、事業の社会的責任を十分自覚し、関連法規を遵守すること。 |
患者等搬送業務の制限 | 患者等搬送事業者は、生命に危険があり、又は症状が悪化すると認められ、緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等については、搬送の対象としないものとする。 |
応急手当の実施 | 患者等搬送事業者は、患者等搬送業務を行うに当たっては、症状の悪化防止に万全の配慮を行うとともに、搬送途上で症状が悪化する等緊急やむを得ない場合は、必要最小限度の応急手当を実施するものとする。 |
消防機関との連携 | 患者等搬送事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、患者等のいる場所、状態、既往症、掛かり付けの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請すること。 (1) 患者等からの要請時点において、緊急に医療機関へ搬送が必要であると判断したとき。 なお、この場合は、乗務員を派遣すること。 (2) 要請者の依頼場所に到着した時点において、緊急に医療機関に搬送する必要があると判断したとき。 (3) 患者等の搬送途上において、緊急に医療機関に搬送する必要があると判断したとき。 |
定期講習 | 患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証の交付を受けた乗務員に、2年に1回以上定期講習を受講させること。 |
車両の外観 | 1 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色警告灯を装備する等救急自動車と紛らわしい外観を呈していないこと。 2 自動車の両側面及び後面に「民間患者等搬送用自動車」と横書きで表示すること。この場合において、文字の大きさは縦横50ミリメートル以上とすること。 |
消毒 | 1 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、次に定めるところにより実施するものとする。 (1) 毎月1回以上の定期消毒 ア 資器材 (ア) 消毒用薬剤により殺菌消毒を行うこと。 (イ) 使用頻度の少ない資器材等について行うこと。 イ 車両 水洗い、清拭、消毒用薬剤噴霧等による殺菌消毒の手順により、車両全般にわたって綿密に行うとともに、毛布等も日光消毒等適当な消毒を行うこと。 (2) 毎使用後の消毒 ア 乗務員 患者等搬送業務終了後、手指及び口腔内の消毒を次により実施する。 (ア) 手指の消毒は、前腕部を含めて水道水により行い、血液、汚物等の付着がある場合は、特に入念に洗浄した後に、消毒用薬剤による殺菌消毒を行うこと。 (イ) 口腔内の消毒は、手指を洗浄した後、うがい薬等により行うこと。 イ 資器材 患者等搬送業務終了後、水道水による洗浄、清拭等を行った後、消毒用薬剤による殺菌消毒を行うこと。 ウ 車両 患者等搬送業務終了後、汚染場所等を水洗い、清拭、消毒用薬剤噴霧等による殺菌消毒の手順により行うこと。 水洗いを避けなければならない場合は、清拭及び消毒用薬剤噴霧による殺菌消毒を行うこと。 特に血液、汚物等により汚染している箇所は、重点的に行うこと。 (3) 医師からの特別な指示に基づく消毒 医師からの指示に基づいた消毒を行うこと。 2 1の規定により消毒を行ったときは、その旨を消毒実施記録票に記録し、患者等搬送用自動車の見やすい場所に表示するものとする。 |
衛生・安全管理 | (1) 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めること。 (2) 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めること。 |
事業案内 | パンフレット等の事業案内には、救急隊と同レベルの活動ができるかのような表現を避けること。 |
2 個別事項
(1) ストレッチャー、車椅子等を固定できる自動車による患者等搬送事業
指導事項 | 指導内容 |
乗務員の要件 | 乗務員は、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当するものをもって充てること。 (1) 基礎講習のうち、乗務員講習を修了した者 (2) 第5条第2号に該当する者 |
適任証の携行 | 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは、適任証を携行すること。 |
運行体制 | 患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車1台につき2人以上の乗務員をもって業務を行わせること。ただし、退院等を目的とした運行をする場合又は医師、看護師等が同乗する場合は、乗務員を1人とすることができる。 |
患者等搬送用自動車の要件 | (1) 十分な緩衝装置を有すること。 (2) 換気及び冷暖房の装置を有すること。 (3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有すること。 (4) ストレッチャー、車椅子等を使用したまま確実に固定できる構造であること。 (5) 携帯可能な通信機器等連絡に必要な設備を有すること。 |
積載資器材 | 次に掲げる資器材を積載するものとする。 (1) 呼吸管理用資器材 ア バッグバルブマスク イ ポケットマスク (2) 保温・搬送用資器材 ア 敷物 イ 保温用毛布 ウ 担架 エ まくら (3) 創傷等保護用資器材 ア 三角巾 イ ガーゼ ウ 包帯 エ タオル オ ばんそうこう (4) 消毒用資器材 ア 噴霧消毒器 イ 各種消毒薬 (5) その他資器材 ア はさみ イ マスク ウ ピンセット エ 手袋 オ 膿盆汚物入れ カ 体温計 キ AED(任意積載) |
(2) 車椅子のみを固定できる自動車による患者等搬送事業
指導事項 | 指導内容 |
乗務員の要件 | 車椅子のみを固定できる患者等搬送用自動車(以下「患者等搬送用自動車(車椅子専用)」という。)の乗務員は、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当するものをもって充てること。 (1) 基礎講習のうち、乗務員講習(車椅子専用)を修了した者 (2) 第5条第2号に該当する者 |
適任証の携行 | 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは、適任証(車椅子専用)を携行すること。 |
運行体制 | 患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車(車椅子専用)1台につき1人以上の乗務員をもって業務を行わせること。ただし、搬送中に容体急変の可能性が高い場合等については、医師等を同乗させ、又は乗務員を2人以上とする等対応に必要な体制を確保すること。 |
患者等搬送用自動車(車椅子用)の要件 | (1) 十分な緩衝装置を有すること。 (2) 換気及び冷暖房の装置を有すること。 (3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有すること。 (4) 車椅子を使用したまま確実に固定できる構造であること。 (5) 車椅子の乗降を容易にするための装置を備えていること。 (6) 携帯可能な通信機器等連絡に必要な設備を有すること。 |
積載資器材 | 次に掲げる資器材を積載するものとする。 (1) 呼吸管理用資器材 ア バッグバルブマスク(任意積載) イ ポケットマスク (2) 保温・搬送用資器材 ア 敷物(任意積載) イ 保温用毛布 ウ 担架 エ まくら(任意積載) (3) 創傷等保護用資器材 ア 三角巾 イ ガーゼ ウ 包帯 エ タオル オ ばんそうこう (4) 消毒用資器材 ア 噴霧消毒器 イ 各種消毒薬 (5) その他資器材 ア はさみ イ マスク ウ ピンセット(任意積載) エ 手袋 オ 膿盆汚物入れ カ 体温計 キ AED(任意積載) |
別表第2(第4条、第5条関係)
1 基礎講習
課目 | 単位数 | |
乗務員講習 | 乗務員講習 (車椅子専用) | |
総論 | 1 | 1 |
観察要領及び応急措置(一定頻度者が受講する講習と同等の内容を含む。) | 13 | 9 |
体位管理要領 | 2 | 1 |
消防機関との連携要領 | 2 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 | 1 |
搬送法 | 2 | 1 |
修了考査 | 2 | 1 |
合計 | 24 | 16 |
備考
1 1単位当たり45分とする。
2 講師は、次の各号のいずれかに該当する者で、消防長が適任と認めたものをもって充てるものとする。
(1) 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者
(2) 消防大学校の救急科課程の修了者
(3) 消防学校の救急科課程の教官として2年以上の経験を有する者
3 修了考査の内容は、次のとおりとし、80点以上で合格とする。
(1) 実技
観察要領及び応急措置(配点60点)
(2) 筆記
ア 消防機関との連携要領(配点20点)
イ 車両資器材の消毒及び感染防止要領(配点20点)
4 消防長は、必要と認める場合は、講習時間等を変更することができる。
2 定期講習
課目 | 単位数 |
観察要領及び応急措置 | 2 |
体位管理要領 | 1 |
合計 | 3 |
備考
1 1単位当たり45分とする。
2 講師は、基礎講習に同じ。