○日置市消防本部火災調査規程

平成17年10月11日

消防本部訓令第8号

目次

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 調査の実行

第1節 通則(第11条・第12条)

第2節 火災時の調査(第13条・第14条)

第3節 現場保存(第15条―第18条)

第4節 鎮火後の調査(第19条―第22条)

第5節 質問(第23条―第27条)

第6節 児童に対する取扱いの特例(第28条―第34条)

第7節 原因の判定(第35条・第36条)

第3章 損害調査(第37条―第40条)

第4章 調査資料(第41条―第44条)

第5章 調査資料の作成及び報告(第45条―第48条)

第6章 り災証明(第49条・第50条)

第7章 雑則(第51条―第54条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章に基づく火災の原因及び損害の調査(以下「調査」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。

(用語の意義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 火災とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。

(2) 爆発現象とは、化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴・火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。

(3) 1件の火災とは、1つの出火点から拡大したもので、出火から鎮火までをいう。ただし、飛火による火災が火災現場(以下「現場」という。)から消防隊が引き揚げた後に発生したときは、当該火災は別件火災とする。

(4) 調査員とは、火災の調査に従事する消防職員をいう。

(5) 関係者とは、法第2条第4項による関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査対象の参考人をいう。

(6) 建物とは、土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類するものをいう。

(7) 車両とは、原動機を用いて陸上を移動することを目的として製作された用具であって運輸局その他の機関に届出又は登録された自動車登録番号等のついている自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。

(8) 被けん引車とは、車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されるリヤカーその他の軽車両をいう。

(9) 船舶とは、独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住民船、倉庫船、はしけ等をいう。

(10) 航空機とは、航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に定めるものをいう。

(11) 森林とは、森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に定めるものをいう。

(12) 原野とは、自然に雑草、かん木類が生育している土地で人が使用しないものをいう。

(13) 牧野とは、主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料を採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。

(14) 建物の用途とは、建物が占用されている目的をいう。

(15) 業態とは、一定の有機物、物理的場所において業として行われている事業の形態をいい、教育、宗教、公務、非営利団体等の諸活動も含む。

(16) 発火源とは、出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。

(17) 経過とは、出火に関係した現象、状態又は行為をいう。

(18) 着火物とは、発火源によって最初に着火したものをいう。

(19) 出火箇所とは、火災の発生した場所をいう。

(調査の目的)

第3条 火災の原因調査においては、火災が発生した消防対象物の燃焼状況を観察して出火点を求め、火災となった原因を調査するほか、火災が拡大し、若しくは延焼した場合又は死傷者を生ずるに至った場合には、その理由を明らかにするものとする。

(調査の区分及び範囲)

第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査とする。

2 火災原因調査は、次の各号に定める事項について行うものとする。

(1) 出火原因 火災発生経過及び出火箇所

(2) 延焼経過 建物の部分焼以上の火災の延焼経路及び延焼拡大した素因

(3) 避難状況 火災現場(以下「現場」という。)における避難の状況

(4) 消防用設備等の活用状況 消火設備、警報設備、避難設備及び消火活動上必要な施設の使用又は作動等の状況

3 火災損害調査は、次の各号に定める事項について行うものとする。

(1) 焼き損害 焼け、熱による破損等の損害

(2) 消火損害 消火のため受けた水損、破損、汚損等の損害

(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた前号(1)(2)以外の損害

(4) その他の損害 煙害、搬出に伴う損害及び火災中に発生した損害

(5) 死傷者 現場において火災に直接起因して、死亡又は負傷した者及び火災に直接起因して、負傷し48時間以内に死亡した者。この場合消防吏員及び消防団員については、火災を覚知した時より現場を引き揚げる時までの間に死亡又は負傷した者

(調査の限界)

第5条 調査は、法で定める事項に限り行うもので、法に特別の定めがある場合のほか、犯罪の捜査に関与してはならない。

2 調査は、法その他の関係法令に定める事項を遵守するほか、この規程の定めるところにより行わなければならない。

(調査体制の確立)

第6条 消防長又は消防署長は、常に人員及び器材を整備し、調査能力の向上に努め調査体制の確立を図るものとする。

(調査員の調査心得)

第7条 調査員は、第4条第2項に定める事項又は内容が相互に密接な関係にあることを認識し、関係法令及び火災に関する諸事象を常に研究して調査技術の改善に努めるものとする。

2 調査にあたっては、常に公共の福祉増進に資することを自覚し、不屈の精神をもってのぞみ、冷静周密に原因の探究に努めるものとする。

(協力)

第8条 調査員は、相互に連絡協調し、常に調査全般の進展を期するよう努めるものとする。

2 調査員は、関係警察署の捜査員と緊密な連絡を保持し、調査にあたっては互いに協力しなければならない。

(民事不介入の原則)

第9条 調査員は、民事的紛争に関与してはならない。

(秘密の保持)

第10条 調査員は、関係者の名誉を棄損しないように留意し、調査上知り得た事項はみだりに他に漏らしてはならない。

第2章 調査の実行

第1節 通則

(火災の種別)

第11条 火災の種別は、次の各号に定めるところによる。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損したもの

(2) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損したもの

(3) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損したもの

(4) 林野火災 森林、原野又は牧野の樹木、雑草、飼料、敷料等が焼損したもの

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損したもの

(6) その他の火災 前各号以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいう。

(資料等の収集)

第12条 調査員は、現場付近のものについて調査上必要な情報及び資料を収集しなければならない。

第2節 火災時の調査

(火災状況の見分)

第13条 消防活動に従事する消防職員(以下「消防隊員」という。)は現場に出動したときは、直ちに火災の状況を見分するものとする。

(火災状況見分書)

第14条 前条の火災状況の見分を行ったときは、必要に応じ、その状況を火災状況見分書に記載するものとする。

2 前項の火災状況見分書には、必要に応じ、図面及び写真等を添付するものとする。

第3節 現場保存

(防ぎょ中の現場保存)

第15条 消防隊員は、出火場所付近の迅速な消火を心がけ、出火前の状態が推測できるよう原状の保存に努めなければならない。

2 防ぎょ活動のため、やむを得ず出火場所付近の物件を移動又は破壊しようとするときは、原状が分かるよう必要な処置をとらなければならない。

(鎮火後の現場保存)

第16条 消防署長(以下「署長」という。)は、次の各号に定めるところにより、鎮火後の現場を保存しなければならない。ただし、警察官その他の関係機関によって現場保存がなされている場合はこの限りでない。

(1) 現場保存区域は、警察官等と協議して決定する。

(2) 現場保存区域は、必要最小限度の範囲にとどめる。

(3) 現場保存区域は、ロープ等で標示する。

(4) 現場保存区域には、関係者であってもみだりに出入させてはならない。

(5) 現場保存区域は、調査の進行に伴い、順次縮小解除する。

(原状の変更)

第17条 調査員は、現場見分を行う以前にやむを得ず現場の原状を変更するときは、写真、見取図、記録その他の方法により原状を明らかにするよう処置しなければならない。

(死者の取扱い)

第18条 消防隊員は、現場において死者を発見したときは、速やかに現場最高指揮者に報告しなければならない。

2 前項の報告を受けた現場最高指揮者は、警察官等に報告するとともに必要な措置を講じなければならない。

第4節 鎮火後の調査

(現場見分の原則)

第19条 調査員は、現場その他関係のある場所に立ち入り詳細に見分し、証拠資料の発見収集に努めなければならない。

(実況見分調書)

第20条 調査員は、現場見分を行い実況見分調書を作成しなければならない。ただし、火災の種別、規模によりこれを省略することができる。

(立会人)

第21条 現場見分は、努めて関係者の立会いのもとにこれを行わなければならない。

(図面及び写真)

第22条 調査員は、現場見分内容を明確にするため図面及び写真により記録しなければならない。

2 図面は、現場図面用紙を用いるものとする。

3 写真は、現場写真用紙を用い、必要な説明を記入しなければならない。

第5節 質問

(質問)

第23条 調査員は、火災の原因究明及び被害状況の把握のため必要があるときは、火元責任者、火気取扱者その他関係者に対し質問を行い、事実の確認に努めなければならない。

(任意供述の確保)

第24条 調査員は、質問を行うときは強制的手段を避け、場所、時間等を考慮し、被質問者の任意の供述を得るよう努め、みだりにその供述を誘導してはならない。

(伝聞の排除)

第25条 調査員は、伝聞による供述を排除し、事実の供述を得るよう努めなければならない。

(質問調書)

第26条 調査員は、質問調書に被質問者の供述を正確に録取しなければならない。

(署名)

第27条 調査員は、被質問者の供述を録取したときは、その内容を被質問者に閲覧又は読み聞かせ、誤りのないことを確認させたのち供述者の署名を求めるものとする。

2 被質問者が署名を拒否した場合又は状況により求められない場合は、調査員がその旨を記載しなければならない。

第6節 児童に対する取扱いの特例

(準拠)

第28条 児童に関する調査は、この節の規定によるものとする。

2 前項の児童とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条に規定する満18歳に満たない者をいう。

(調査員の心得)

第29条 調査員は、児童に関する調査にあたっては、児童の特性をよく理解し、言動に注意し、その心情を傷つけないよう努めなければならない。

(関係機関との連絡)

第30条 調査員は、児童に関する調査を行うにあたって必要があるときは、警察署、児童相談所、学校その他関係機関との連絡を密にして行わなければならない。

(保護者の立会い)

第31条 調査員は、児童に質問し、又は現場見分時の立会人とする場合は、保護者、教師、保護司等の立会いのもとにおいて行わなければならない。

(署名)

第32条 児童の質問調書には、立会いする保護者、教師、保護司等の署名を求めるものとする。

2 前項の署名は、第27条の規定を準用する。

(氏名等の公表禁止)

第33条 児童の失火又は放火による火災について、住民、報道機関等に発表する場合は、氏名、年齢、住所等本人を推知できるような情報を漏らしてはならない。

(精神上の障害により事理を識別する能力を欠く者等の準用)

第34条 精神上の障害により事理を識別する能力を欠く者、ろうあ者等の関係する調査は、この節の規定を準用する。

第7節 原因の判定

(原因の判定)

第35条 火災原因は、火災状況の見分、実況見分、関係者等の供述及び実験等その他関係資料を総合的に検討し、判定しなければならない。

(火災原因判定書)

第36条 前条により原因を判定したときは、火災原因判定書を作成しなければならない。

2 前項の火災原因判定書には、総合的結論と原因判定の経過を系統的かつ明確に記載し、それぞれの事実を立証する証拠資料を明示するものとする。

第3章 損害調査

(り災物件の調査)

第37条 消防長又は署長は、調査員に現場その他関係のある場所に立ち入って関係者に質問させ、り災物件を詳細に調査させて正確な損害の把握に努めなければならない。

(損害の決定及び損害調査表)

第38条 消防長又は署長は、調査により把握したり災物件及び火災の損害届を総合的に検討し、損害額を決定しなければならない。

2 消防長又は署長は、前項により損害額を決定したときは、損害調査表を作成しなければならない。

3 り災物件の損害額は、り災した時点における時価又は原価により算出しなければならない。

4 損害の査定は、原則として損害査定書を用いるものとする。

(火災損害届)

第39条 消防長又は署長は、調査上必要があるときは、り災者その他関係者に次の各号に定めるところにより火災損害届の提出を求めることができる。

(1) 火災損害届 (不動産、動産用)

(2) 火災損害届 (動産用)

(3) 火災損害届 (車両、船舶、航空機、林野、その他)

(死者の調査)

第40条 消防長又は署長は、火災に起因して死者が発生したときは、その状況を調査し、死者の調査表を作成しなければならない。

第4章 調査資料

(官公署への照会)

第41条 消防長又は署長は、法第32条第2項の規定に基づき、官公署に対し、通報を求める場合は、火災調査事項照会書によるものとする。

(資料の提出)

第42条 消防長又は署長は、調査のため必要と認める資料については、関係者に対し任意の提出を求めるものとする。

2 消防長又は署長は、法第34条第1項の規定に基づき資料の提出を命ずる場合は、資料提出命令書によるものとする。

3 前各号により資料の提出があった場合は、関係者等に対して資料提出受領書を交付し、資料を返還する場合は、資料還付請書を提出させるものとする。

(所有権の確認)

第43条 消防長又は署長は、前条により資料の提出を求め、又は命じた場合は、調査資料提出書によって所有権放棄の有無を確認しておかなければならない。ただし、特に必要がないと認められる場合はこの限りでない。

(資料の保管)

第44条 消防長又は署長は、資料の保管にあたっては、資料の証拠価値を棄損しないよう細心の注意をはらわなければならない。

2 資料の保管は調査終了時までとする。

第5章 調査書類の作成及び報告

(火災調査報告書)

第45条 署長は、調査を終了したときは、火災調査報告書を作成し、消防長に報告しなければならない。

2 前項の火災調査報告書には、火災調査表のほか、別表に掲げる書類を添付するものとする。

(即時報告)

第46条 署長は、調査した概要を火災調査即報書で整理し、消防長に報告しなければならない。

(死者の報告)

第47条 署長は、第40条に基づき死者の調査表を作成したときは、速やかに消防長に報告しなければならない。

(報告期限)

第48条 第45条の火災調査報告書は、原則として次の各号に定める期限内に報告しなければならない。

(1) 別表による形式1に該当する火災は、火災覚知の日から起算して30日以内

(2) 前号に該当しない火災は、火災覚知の日から起算して15日以内

第6章 り災証明

(り災証明)

第49条 消防長は、り災証明願により願出があったときは、り災証明書を発行することができる。

2 前項のり災証明書は、原則として現場見分が終了するまで発行してはならない。

3 り災証明は、焼損又は水損によるり災程度が確認し得たものについて、証明を行うものとする。

(り災証明処理)

第50条 消防長は、前条のり災証明書を発行したときは、り災証明処理簿に記入し、発行の状況を明確にしなければならない。

第7章 雑則

(火災原因に関する回答)

第51条 署長は、火災原因その他の調査事項について、捜査機関その他関係機関から照会があったときは、その内容、目的その他必要事項について回答することができる。

2 署長は、前項により回答したときは、照会書等の写しを添えて消防長に報告しなければならない。

(広報)

第52条 調査に関する住民、報道機関等への発表は、広報効果が上がるよう積極的に行うものとする。ただし、発表は消防長若しくは署長又は消防長若しくは署長が指定する職員が行うものとする。

(火災調査報告書の保存)

第53条 この訓令により作成した火災調査報告書は、原本として永久保存するものとする。

(その他)

第54条 この訓令の施行に関し、必要な事項は、消防長が別に定める。

(施行期日)

1 この訓令は、平成17年10月11日から施行する。

(経過措置)

2 この訓令の施行の日の前日までに、解散前の日置地区消防組合火災調査規程(昭和57年日置地区消防組合訓令第8号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この訓令の相当規定によりなされたものとみなす。

(令和3年3月31日消防本部訓令第1号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

別表(第45条、第48条関係)

形式1

処理区分

添付書類

半焼以上の建物火災又は特異火災

火災調査書

火災原因判定書

現場見分調書

火災出動時における見分調書

図面、写真

質問調書

損害査定書

火災損害届

その他関係書類

形式2

部分焼、ぼや

火災調査書

火災原因判定書

図面、写真

質問調書

損害査定書

火災損害届

その他関係書類

車両、船舶、航空機火災

火災調査書

火災原因判定書

図面、写真

質問調書

損害査定書

火災損害届

その他関係書類

林野、その他火災

火災調査書

火災原因判定書

図面、写真

質問調書

損害査定書

火災損害届

その他関係書類

特異火災

1 建物半焼以上の複合火災

2 死者が3人以上生じたもの

3 死傷者が10人以上生じたもの

4 その他原因等が特異なもので消防長が必要と認めたもの

日置市消防本部火災調査規程

平成17年10月11日 消防本部訓令第8号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第12編 防/第2章 火災予防
沿革情報
平成17年10月11日 消防本部訓令第8号
令和3年3月31日 消防本部訓令第1号