○日置市永吉ダム操作規程

平成17年5月1日

訓令第51号

目次

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 ダム等の管理の原則

第1節 流水の貯水及び放流の方法(第10条―第13条)

第2節 放流の際にとるべき措置等(第14条―第19条)

第3章 洪水における措置に関する特例(第20条―第23条)

第4章 雑則(第24条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、日置市永吉ダム(以下「ダム」という。)の操作の方法のほか、ダム及び永吉貯水池(以下「貯水池」という。)の管理に関し必要な事項を定めるものとする。

(管理主任技術者)

第2条 ダムに河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第50条第1項に規定する管理主任技術者1人を置く。

2 前項の管理主任技術者は、部下の職員を指揮監督して法及びこれに基づく命令並びにこの訓令に定めるところにより、ダム及び貯水池の管理に関する事務を誠実に行わなければならない。

(ダム及び貯水池諸元等)

第3条 ダム及び貯水池の諸元その他これに類するダム及び貯水池の管理上参考となるべき事項は、次のとおりとする。

(1) ダム

 高さ 37.00メートル

 堤頂の標高 132.10メートル

 越流頂の標高 128.20メートル

 洪水調節ゲート

(ア) 個々のゲートの規模及び数 高さ1.46メートル幅1.46メートルのもの2門

(イ) 個々のゲートの開閉の速さ 1分につき0.30メートル

 設計洪水流量 毎秒230立方メートル

(2) 貯水池

 直接集水域の面積 8.02平方キロメートル

 洪水区域の面積 0.10平方キロメートル

 最大背水距離 1.30キロメートル

 設計洪水位標高 129.90メートル(水位計による表示 129.90メートル)

 常時満水位標高

(ア) 出水期4月1日から10月31日まで 119.00メートル(水位計による表示 119.00メートル)

(イ) 非出水期11月1日から3月31日まで 128.20メートル(水位計による表示 128.20メートル)

 予備放流水位標高 115.80メートル(水位計による表示 115.80メートル)

 最低水位標高 111.50メートル

 有効貯水量 996,000立方メートル

(3) 取水

 最大使用水量 毎秒0.260立方メートル

 取水施設

(ア) 取水バルブ 口径600ミリメートル(超音波流量計)

(イ) 放水バルブ 口径400ミリメートル(超音波流量計)

(洪水及び洪水時)

第4条 この訓令において「洪水」とは、貯水池への流入量(以下「流入量」という。)が毎秒35立方メートル以上であることをいい、「洪水時」とは洪水が発生している時をいう。

(洪水警戒時)

第5条 この訓令において「洪水警戒時」とは、ダムに係る直接集水地域を含む予報区を対象として洪水警報若しくは大雨警報が発令され、又は洪水が発生するおそれが大きいと認められるに至った時から、これらの警報が解除され、又は切り替えられ、かつ、洪水の発生するおそれが少ないと認められるまでの間で、洪水時を除く間をいう。

(洪水処理時)

第6条 この訓令において「洪水処理時」とは、洪水警戒時中洪水時が終わった時から洪水警戒時が解除されるまで又は解除されることなく流入量が再び増加し洪水時に至るまでの間をいう。

(予備警戒時)

第7条 この訓令において「予備警戒時」とは、第5条の予報区を対象として洪水注意報若しくは大雨注意報が発令され、又は洪水が発生するおそれがあると認められるに至った時から洪水警戒時に至るまでの間又は洪水警戒時に至ることがなく、これらの注意報が解除され、若しくは切り替えられ、かつ、洪水が発生するおそれがないと認められるに至るまでの間をいう。

(貯水位の算定方法)

第8条 貯水池の水位(以下「貯水位」という。)は、ダム水位局の水位計に基づいて算定するものとする。

(流入量の算定方法)

第9条 流入量は、これを算定すべき時を含む一定の時間における貯水池の貯水量の増分と当該一定の時間におけるダムからの延べ放流量との合算量を当該一定の時間で除して算定するものとする。

2 前項の貯水量の増分は、同項の一定の時間が始まる時及びこれが終わる時における貯水位にそれぞれ対応する貯水池の貯水量を別に定める方法によって求め、これを差引計算して算定するものとする。

第2章 ダム等の管理の原則

第1節 流水の貯水及び放流の方法

(流水の貯水の方法)

第10条 貯水池における流水の貯水は、第21条の規定により貯水池に流水を貯水する場合を除くほか、常時満水位を超えてしてはならない。

(ダムから放流することができる場合)

第11条 ダムからの放流は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、これを行うことができるものとする。

(1) 河川の流量を確保する必要があるとき。

(2) 前条に規定する満水位を超えたとき又は超えるおそれがあるとき。

(3) 第3章の規定によりダムから放流するとき。

(4) ダムその他貯水池内の施設又は工作物の点検又は整備のため必要があるとき。

(5) 前各号に掲げるもののほか、やむを得ない事情があるとき。

(放流の開始及び放流量の増減の方法)

第12条 ダムからの放流は、第22条及び第23条の規定によってする場合を除くほか、下流の水位の急激な変動を生じないように別に定める方法によってしなければならない。ただし、流入量が急激に増加しているときは、当該流入量の増加率の範囲内においてダムからの放流量を増加することができる。

(洪水調節ゲートの操作の方法等)

第13条 ダムの洪水調節ゲートを構成する個々のゲート(以下この条において「ゲート」という。)は、左岸に最も近いものから右岸に向かって順次第1ゲート、第2ゲートという。

2 ダムから放流する場合においては、ゲートを第1ゲート、第2ゲートの順序により開き、第1ゲートを開いた後更にその放流量を増加するときは、同様の操作を繰り返すものとし、開かれたゲートを閉じるときは、これを開いた順序の逆の順序によってするものとする。

3 前項の場合におけるゲートの1回の開閉の速さは、1分につき0.30メートルを超えてはならない。ただし、流入量が急激に増加している場合においてやむを得ないと認められるときは、この限りでない。

4 一のゲートを開閉した後引き続いて他のゲートを開閉するときは、当該一のゲートを始動させてから少なくとも5分を経過した後でなければ当該他のゲートを始動させてはならない。

5 ゲートは、第11条の規定により放流する場合を除くほか開閉してはならない。

第2節 放流の際にとるべき措置等

(放流の際の関係機関に対する通知)

第14条 法第48条の規定による通知は、ダムからの放流(当該放流の中途における放流量の著しい増加で、これによって下流に危害が生ずるおそれがあるものを含む。以下次条において「ダム放流」という。)を開始する時間の少なくとも1時間前に別表第1に掲げる機関に行うものとする。

(放流の際の一般に周知させるための措置)

第15条 法第48条の一般に周知させるため必要な措置は、ダム地点から永吉川河口までの区間についてとるものとする。

2 河川法施行令(昭和40年政令第14号。以下「令」という。)第31条の規定による警告は、別表第2に掲げるサイレンの吹鳴(1分吹鳴、10秒休止)及び警報車の拡声機によりそれぞれ次に掲げる時期に行うものとし、各警報局の放送により放流開始及び終了を伝達しなければならない。

(1) ダム地点に設置されたサイレンによる警告にあっては、ダム放流の開始約30分前に約5分間

(2) ダム地点以外の地点に設置されたサイレンによる警告にあっては、ダム放流により当該地点における永吉川の水位の上昇が開始すると認められる時の約30分前に約5分間

(3) 警報車の拡声機による警告にあっては、前項の区間に含まれる各地点についてダム放流により当該地点における永吉川の水位の上昇が開始されると認められる時の約15分前

(ダム操作に関する記録の作成)

第16条 ダムの洪水調節ゲートを操作した場合においては、次に掲げる事項を記録しておかなければならない。

(1) 操作の理由

(2) 開閉したダムの洪水調節ゲートの名称、開閉を始めた時刻及びこれを終えた時刻並びにこれを終えた時における開度

(3) ダムの洪水調節ゲートの開閉を始めた時及びこれを終えた時における貯水位、流入量及び放流量

(4) ダムからの放流に係る最大放流量が生じた時刻及びその最大放流量

(5) 法第48条の規定による通知及び令第31条の規定による警告の実施状況

(観測及び測定等)

第17条 法第45条の規定による観測は、別表第3に定めるところにより行うものとする。

2 法第45条の規定により観測すべき事項のほか、別表第4に掲げる事項については、同表に定めるところにより観測又は測定しなければならない。

3 前項のほか次条第2項の規定に該当するときその他ダム又は貯水池について異常かつ重大な状態が発生していると疑われる事情があるときは、速やかに別表第4に掲げる事項のうち、ダムの状況に関するものの測定をしなければならない。

4 法第45条及び第2項の規定による観測及び測定の結果は、記録しておかなければならない。

(点検及び整備等)

第18条 ダム及び貯水池並びにこれらの管理上必要な機械、器具及び資材は、定期に及び時宜にその点検及び整備を行うことにより、常時良好な状態に維持しなければならない。

2 洪水、暴風雨、地震その他これらに類する異常な現象でその影響がダム又は貯水池に及ぶもの又は及ぶおそれのあるものが発生したときは、発生後直ちにダム及び貯水池の点検(貯水池付近の土地の形状の変化の観測及びダムに係る地山からにじみ出る水の量と貯水位との関係の検討を含む。)を行い、ダム又は貯水池に関する異常な状態が早期に発見されるようにしなければならない。

(異常かつ重大な状態に関する報告)

第19条 ダム又は貯水池に関する異常かつ重大な状態が発見されたときは、直ちに鹿児島県知事及び市長に対しその旨を報告しなければならない。

第3章 洪水における措置に関する特例

(予備警戒時における措置)

第20条 予備警戒時においては、次に掲げる措置をとらなければならない。

(1) 洪水時においてダム及び貯水池を適切に管理することができる職員を確保すること。

(2) 次に掲げるものの点検及び整備を行うこと。

 ダムを操作するために必要な機械及び器具(受電及び受電した電気の使用のための電気設備並びに予備電源設備を含む。)

 法第45条の観測施設

 法第46条第2項の通報施設

 令第31条の規定により警告するためのサイレン及び警報車

 夜間外で洪水時における作業を行うため必要な照明設備及び携帯用の電灯

 からまでに掲げるもののほか、洪水時におけるダム及び貯水池の管理に必要な機械、器具及び資材

(3) 鹿児島地方気象台が行う気象の観測の成果を的確かつ迅速に収集すること。

(4) 鹿児島県知事に対し法第46条第1項の規定による通報をすること。

(5) 河川法施行規則(昭和40年建設省令第7号)第27条の規定の例によりダム操作に関する記録を作成すること。

(6) 前各号に掲げるもののほか、ダム及び貯水池の管理上必要な措置

2 前項各号に掲げる措置のほか、次条第2号に規定する措置を容易にするため、必要な流量の流水をダムから放流すること。

(洪水警戒時における措置)

第21条 洪水警戒時においては、前条第1項第1号から第5号までに掲げる措置のほか、次に掲げる措置をとらなければならない。

(1) 最大流入量及び流入量の時間的変化を予測すること。

(2) 次に定めるところによりダムから放流し、又は貯水池に流水を貯水すること。ただし、ダムからの放流は、第12条の規定に適合しないこととなるときは、できるだけこれに適合するような方法で行うこと。

 洪水警戒時に至った時における貯水位が予備放流水位を超えているときは、ダムからの放流を行い、貯水位が予備放流水位に等しくなった時以後においては、流入量に相当する流量の流水をダムから放流すること。

 洪水警戒時に至った時における貯水位が予備放流水位に等しいときは、流入量に相当する流量の流水をダムから放流すること。

 洪水警戒時に至った時における貯水位が予備放流水位を下回っているときは、ダムからの放流をしながら、又はこれをしないで貯水池に流水を貯水し、貯水位が予備放流水位に等しくなった時以後においては、流入量に相当する流量の流水をダムから放流すること。

(3) その他ダム及び貯水池の管理上必要な措置

(洪水時における措置)

第22条 洪水時においては、第20条第1項第3号及び第4号並びに前条第1号に掲げる措置のほか、次に掲げる措置をとらなければならない。

(1) 次の方法によりダムから放流すること。

 初めは、第1ゲート及び第2ゲートを全閉にしておくこと。

 流入量が毎秒35立方メートルに達した場合は、第1ゲートを開け始めること。

 流入量が毎秒55立方メートルに達した場合は、第2ゲートを開け始めること。

 中和田水位局の水位が3.60メートル(水面標高5.21メートル)に達した場合は、第2ゲートを閉め始めること。

 中和田水位局の水位が4.10メートル(水面標高5.71メートル)に達した場合は、第1ゲートを閉め始めること。

 第1ゲート及び第2ゲートの全閉後、中和田水位局の水位が4.10メートル以下に低下し、流入量が減少すると認められる場合は、第1ゲート及び第2ゲートを開け、ダムの水位を下げること。

(2) 法第49条の規定による記録を作成すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、ダム及び貯水池の管理上必要な措置

(洪水処理時における措置)

第23条 洪水処理時においては、第21条に規定する措置のほか、次に掲げる措置をとらなければならない。

(1) 洪水処理時に至った時においては、速やかに予備放流水位に等しくなるまで放流すること。

(2) 貯水位が予備放流水位に等しい場合においては、流入量に相当する流量を放流すること。

第4章 雑則

(その他)

第24条 この訓令に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。

この訓令は、平成17年5月1日から施行する。

(平成18年1月30日訓令第4号)

この訓令は、平成18年2月1日から施行する。

(平成19年4月1日訓令第42号)

この訓令は、平成19年4月1日から施行する。

(平成22年4月1日訓令第25号)

この訓令は、平成22年4月1日から施行する。

(平成25年4月1日訓令第12号)

この訓令は、平成25年4月1日から施行する。

別表第1(第14条関係)

通知の相手

通知の方法

名称

担当機関の名称

鹿児島県知事

鹿児島地域振興局農林水産部農村整備課

電話又は無線

鹿児島地域振興局建設部土木建築課日置市駐在

日置市長

産業建設部農地整備課

電話

日置市消防長

消防本部

電話

日置警察署長

日置警察署

電話

日置市吹上町土地改良区理事長

日置市吹上町土地改良区

電話

別表第2(第15条関係)

1 警報施設

名称

サイレン

放送

位置

構造及び能力

統制局

永吉ダム管理事務所

モーターサイレン200V3.7KW

スピーカー100V 150W

坊野警報局

日置市吹上町

永吉字坊野上

モー夕ーサイレン200V5.5KW

スピーカー100V 200W

坊野下警報局

 

日置市吹上町

永吉字坊野下

スピーカー100V 100W

松下警報局

日置市吹上町

永吉字松下

モーターサイレン200V7.5KW

スピーカー100V 100W

梅里警報局

 

日置市吹上町

永吉字梅里

スピーカー100V 100W

中和田警報局

日置市吹上町

永吉字中和田

モーターサイレン200V7.5KW

スピーカー100V 100W

2 通信連絡施設

名称

位置

構造又は能力

水防永吉基地

永吉ダム管理事務所

市役所 NTT専用回線(DA 128)

警報車 152.75MHZ帯

観測子局 71.76MHZ帯

水防永吉ダム1

警報車移動

152.57MHZ帯

水防永吉ダム2

日置市役所吹上支所

152.57MHZ帯

別表第3(第17条関係)

観測すべき事項

観測施設

観測回数

名称

位置

構造対能力

雨量

ダム雨量局

永吉ダム管理事務所

有線式テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

角免雨量局

鹿児島市直木町字角免

無線式テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

入佐雨量局

鹿児島市入佐町字大下

無線式テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

水位、流量

ダム水位局

永吉ダム管理事務所

有線式テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

田之頭水位局

鹿児島市直木町字田之頭

無線式テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

七呂水位局

日置市吹上町永吉字七呂

無線式テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

中和田水位局

日置市吹上町永吉字中和田

無線式テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

各局数値

統制局

永吉ダム管理事務所

テレメーター

通常時1時間ごと、洪水時、洪水警戒時においては10分ごとに1回

ゲート開度

開度計

永吉ダム管理事務所

電動操作(遠方・現場)

全閉、全開及びストップ時

別表第4(第17条関係)

観測又は測定をすべき事項

観測又は測定の回数

気象

ダム地点における天気、気圧、気温、相対湿度、風速及び風向

毎日

水象

使用水量及び貯水池の結氷の状態

毎日

ダムの状況

温度、応力、変形及び揚圧力

少なくとも毎四半期1回

漏水量

少なくとも毎月1回

貯水池内及びその末端付近の堆砂の状況

少なくとも毎年度1回

日置市永吉ダム操作規程

平成17年5月1日 訓令第51号

(平成25年4月1日施行)

体系情報
第10編 設/第3章 土木・河川
沿革情報
平成17年5月1日 訓令第51号
平成18年1月30日 訓令第4号
平成19年4月1日 訓令第42号
平成22年4月1日 訓令第25号
平成25年4月1日 訓令第12号